2009年松竹座 初春大歌舞伎 昼の部2009/01/12 19:21

2,009年1月11日 松竹座 午前11時開演 一階右列3番

きょうは花道がよく見えた。

「鳥居前」

花形役者だけの一幕。浪花花形で出しても良いような幕だが、とても良かった。特に忠信役の翫雀は華やかさはないがうまかった。最後の狐六方も良かった。弁慶役の薪車は、昨夜の霊験亀山鉾でも思ったが華がある。がんばってほしい。愛之助の義経は綺麗な顔。孝太郎の静は起き抜けで化粧前のような顔だったが動きは綺麗だった。ただ孝太郎の高い声はやっぱり嫌い。

逸見藤太役の松之助と花四天(衣装の裾にスリットが入ってなかったが、これも四天といって良いのだろうか)も活躍した。

「良弁杉由来」

最初に鷲にさらわれるシーンがあるのを見たことがあるが、今月はそれはなくて、月日が経ってからの話。

舞台に立派な二月堂ができている。それを眺めているだけで面白かった。

秀太郎が出てくるまで、男ばかりが舞台にならんでいる。久し振りに吉弥の立役が見られて嬉しかった。薪車も横顔しか見えないが僧姿が似合っていた。千寿郎は似合ってなかった。千次郎は似合う。

千蔵は渚の方の乗る輿を持ち上げる役の一人だった。前の幕に続いてまた力技。

この話自体には感動しなかった。

「廓文章」

最近は還暦過ぎの伊左衛門ばかり見ていて、久し振りの40代の伊左衛門で、悪くなかった。扇雀は若いせいかフットワークが良いし、美男で、おぼっちゃんの雰囲気があるところが良い。言葉については私にはわからないが、台詞にはめりはりがあって笑わせるポイントもちゃんと客を笑わせていた。最初の方では、女形のときの声と同じに聞こえて少しとまどったが気にならなくなった。同じ型の「廓文章」は過去に二回見て、ひどく眠気を誘うものと思っていたが今回はそうでもなかった。

おきさは竹三郎、喜左衛門は段四郎。若い伊左衛門を支える豪華メンバー。段四郎は、自分の手で自分の脱いだ羽織を着せかけていた。十一月の歌舞伎座では、喜左衛門は羽織を脱いで差出し、伊左衛門が着る前に黒衣が別の羽織に差し替えていた。どちらの型もそれなりに喜左衛門の気持ちを理解できるが、裄丈が合えば直接着せかけるのが原則なのだろうか。

夕霧役の藤十郎は美人オーラがあるので夕霧にふさわしい。 懐紙で顔を隠して出てきて顔を見せた後、後ろを向いて玉三郎のように豪華な内掛けを「どうだ見てみろ」とばかりに広げて見せるわけではない。内掛け自体も黒地に大きな花の柄でシンプルなものだった。そのかわり、勘当が解けた後に着替えた内掛けが藤色の地で藤の花の模様で超豪華だった。

「お祭り」

幕が切り落とされると、鳶頭の仁左衛門と、今月襲名した仁三郎がいる。

芸者姿の孝太郎は花道から出てくる。着物の柄が素敵。踊りもうまい。顔以外はとても綺麗。

仁左衛門が客席の左右中央に向かって挨拶するのは流石に愛嬌がある。番付に、お祭りは先代勘三郎がお手本と書いてあったのでなるほどと思った。

昼の部では唯一見たかった演目だったが、期待したほど気持ちがスカッとしなかった。役者が悪いわけではなく自分の我儘なのだが、孝太郎と仁左衛門が仲良く恋人同士を演じているのを見ていると次第にばかばかしくなる。孝太郎が玉三郎だったらこの上なく素晴らしい舞台なのに。

見たくなかった他の三つの演目がそれほど退屈でもなかったので、全体としては悪くなかった。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://wonwon50.asablo.jp/blog/2009/01/12/4054508/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。