歌舞伎座さよなら公演 九月大歌舞伎 昼の部 ― 2009/09/21 17:22
「竜馬がゆく」は三部作の最後。前回は亀治郎も出て見ごたえがあったが今回は地味。竜馬役の染五郎と中岡慎太郎役の松緑中心で、2人で話して暗殺されるまで、盛り上がりに欠ける。いつも舌足らずの松緑の台詞が今回特に聴きづらかった。声量はあるのだから発音発声を直した方が良い。
「時今也桔梗旗揚(ときはいまききょうのはたあげ)」は、春永役が幸四郎なんだと勝手に思いこんで、また息のあった兄弟の丁々発止が見られると期待していたので、春永の役が富十郎でがっかりした。 蘭丸と力丸の兄弟が錦之助と種太郎というのが面白かった。光秀の吉右衛門は普通に良かった。四王天但馬守役の幸四郎は台詞が不明確で、珍しく声も少しかすれているようだった。
「お祭り」は、楽しみにしていた歌昇が真ん中で幕が開き、やっぱり凄くうまい踊りで、見とれた。 芸者役は芝翫が急病で福助が代役だった。芸者が客席のお手を拝借して「よよよいよよよいよよよいよい」と締める前に「父の芝翫が急病で・・・」と挨拶した。 福助は綺麗で踊りもうまいので、こういう役はとても良い。鳶頭の染五郎と松緑の2人の踊りも若々しくて良かったが、福助と歌昇、錦之助の3人が中心で、個人的にこれがとても良かった。踊っている福助を後ろの床几に座って見ている錦之助は、十二夜の大篠左大臣のようだ。女の踊りを見ている美しい男。今月は、福助、歌昇、錦之助の他に歌六、門之助、それに段四郎が出ているので昔の猿之助一座を思い出す。この演目の中で、歌舞伎座の建替えに言及していたが、さよなら公演にふさわしい華やかな「お祭り」だった。
最後の「河内山」は好きではないので帰りたかったが、配役を見たら隼人が出ていたので観た。6人の近習の中に種太郎と隼人がいる。見た目は隼人の方が種太郎より大人っぽいのに、セリフの方は隼人はまだまだ下手なので可笑しい。6人の近習役は40代から高校1年まで年齢のバラツキがあるが、それはお客さんにはわからないわけで、高校生の隼人にとっては厳しいと思う。隼人、こっちを見ろ、と思っても、舞台にひれ伏している時間が長かった。ああやって成長して行くのだなあ、と思いながら観た。
きょうは2階の後ろの方の席で、役者の表情は見えないし、前の客の頭も邪魔になる。しかし、舞台を見下ろす方が、見上げるより疲れない。食事休憩のときは逸早くロビーに出て、吹き抜けのむこうのソファを確保した。今月は幸四郎と吉右衛門の父方、母方両方の祖父の記念の品が飾ってある。七代目幸四郎は昭和21年に東劇で75歳で助六をやって、今の幸四郎はそのときが初舞台、と書いてあるのを見て、75歳で助六とはすごい、幸四郎の初舞台は東劇だったんだ、松本幸四郎は今の幸四郎まで三代に渡って孫の初舞台のときに三代揃ってたんだ、といろいろ考えを巡らした。
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