新春浅草歌舞伎 初日 第2部2010/01/03 04:06

2010年1月2日 浅草公会堂 午後3時半開演 1階い列28番

お年玉ご挨拶は亀治郎。新年の挨拶から、プログラムには袖萩の人物相関図が載っていてよくわかる、イヤホンガイドを借りればさらによくわかる、という営業トーク、最後には、舞台が静かな時ほど携帯が鳴るのでもう一度ご確認を、と神経が行き届いた挨拶だった。

「奥州安達原 袖萩祭文」

亀治郎の会と巡業で、2種類の演出を観たが、これは、また別の演出だ。

亀治郎がやった二役の袖萩と貞任を今月は勘太郎がやる。しかし、二役と言っても、貞任の登場前に袖萩は死んでしまうので、亀治郎の時のように客席に背中を向けた貞任が袖萩の台詞を言ったり、袖萩の替え玉が出たり、ということはない。

最初の方で花道から出てきた袖萩と娘のおきみが、木戸の外で雪に降られ、おきみが自分の着物を脱いで母に着せかけたりするのだが、亀治郎の時と違って雪後見が帯を解くのを手伝ったりするせいか、子役 のけなげさの印象が薄い。涙を誘うのは孫を思う祖母浜夕の台詞である。

勘太郎は袖萩も良いが、背が高いので貞任が立派。ぶっかえりの時に衣装が映える。最後に黒い袖をくるくるっと巻いて決まるのがかっこ良かった。

義家(七之助)は、あまり動きがないのは同じだが、亀治郎主役のときのように上手にずっと動かないでいるような印象ではない。

観るのは数回目だが、イヤホンガイドの説明を聞いていると知らなかったことがたくさんある。桂中納言の格好をした貞任が現れると、プログラムを確認する観客が多い。亀治郎は、春秋座のポストトークの時に、中納言が突然現れると観客が理解しにくいので、中納言の入りからやる、と言った。そして、亀治郎の会の時は最初に中納言が出てきた。しかし巡業の時はそうではなかった。私は、中納言が突然現れて、観客に一瞬誰だかわからないのはかまわないと思う。すぐ後の種明かしでわかるのだから。

実際に書く場面を出すかイヤホンガイドの説明がなければわからないのではないかと思ったのは、源氏の白旗に書いた赤字の和歌。亀治郎主役の時は宗任が口に何か加えて旗の上に字を書く場面があったが、今月はない。

宗任役の愛之助は安定した演技。今月は太い声の役が多い。最後の貞任、義家と三人の渡り台詞もみんな口跡が良くて見事だった。

貞任役の勘太郎は、最後に赤旗を出すときに客席の方に放り投げたので、客の頭の上に赤旗をかぶせる思い切った演出かと驚いたが、放り投げた旗をうまく舞台の方に回収していた。 亀治郎が主役のときとの演出の違いにいろいろ思うところはあったが、最後は綺麗で盛り上がって、良い芝居だった。

「悪太郎」

はじめて観た。亀治郎の挨拶の時の言葉によると、段四郎が演じて以来二十年ぶりにやるそうだ。

大酒飲みで酒乱だが憎めない、という悪太郎のキャラは、段四郎がやった方がかわいいのではないかと思った。亀治郎は顔はよく似ているがキャラが違う。

悪太郎の伯父役の愛之助と、太郎冠者の男女蔵は、役が逆の方が良かったのではないか。

そういう細かいキャラの違いは別として、話も踊りも面白くなかった。狂言からとった話だが、腕白の悪太郎をこらしめるのを見てもカタルシスはない。踊りの振付が特に面白いわけでもない。

猿翁十種ということだが、猿翁が演じたときはどういう条件で客に受けたのだろうか。今月は亀治郎以外は踊りの腕はそれほどでもないからつまらないのだろうか。

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