第7回 一心會2010/07/31 21:17

2010年7月30日 浅草公会堂 午前10時55分開演

暑いと言ってもきょうは30度程度。雨降りなのが嫌だが、浅草に出かけた。自由席なのでもっと早く出かけたかったが起きる根性がなくて、着いたのは開演20分前くらいか。 1階の後2列は招待席になっているし、前にまわって空席を探したが良さそうな席は全部何か置いてあって空いてなかったので、2階に行った。2階の上手の2列目に座った。浅草歌舞伎で座ったことがあるが舞台全体が見える良席だ。

下手から勘十郎、傳次郎が出て来て挨拶。スターウォーズのロボットのように体型が対照的な2人。「お足もとのお悪い中・・・・」と始めた勘十郎は三十歳になったそうだが、もっと若いときから老成した感じに見えた。立場の重さか体型か。しかし話の内容は、軽薄ではないが、別世界の人という印象でもない。会というのは一回目は勢いでできるが二回目をやるのが大変で、赤字も出したそうだ。僕たちも最後までいますから、今いらっしゃるお客さんも最後まで帰っちゃいけませんよ、顔覚えてますから、となかなか楽しい挨拶だった。全部素踊りだというので期待が高まった。

清元「四季三葉草」
翁 勘十郎、千歳 男虎、三番叟 廣松。

男虎は、左団次や男女蔵のように大きくなく、小柄で華奢。ひょっとすると将来は女形か? 素踊りで女形の踊りを踊るのは大変だと思うが、真面目に一生懸命やっていた。廣松は男性的で大きくて伸びやか。摺り足で花道まで行き、そこで舞台に向かって構えた姿勢がかっこ良かった。舞台に行って踊っているときは音楽に乗れているのかどうか多少不安に感じたが力強さがある良い踊りだった。翁の勘十郎は全然レベルが違ううまさで、見とれた。きょうは、この最初の演目だけに4000円払っても惜しくない気分だった。

長唄「藤娘」 坂東新悟

細身で長身のおにいさんが踊る藤娘。でも女らしくしとやかで好感が持てた。藤の花が下がっているのはいつもの舞台と同じだが真ん中の松の木がなくて、屏風がある。しかしかえってすっきりして綺麗な舞台だった。新悟は腕を開くと長い首と相俟って鳥のよう。藤娘より鷺娘を踊ってほしい。

清元「玉兎」 坂東やゑ亮

女性?子供?と迷うらうな華奢な人だが、「かぶき手帖」を見たら彦三郎の弟子で、平成5年生まれ。踊りはとてもうまかった。

長唄「白酒売」 中村京三郎

直前のやゑ亮と比べると急におっさんが出て来たような印象。でも楽しい踊りだった。

常磐津「屋敷娘」 中村京由

素踊りなので、男装の麗人風。

この後、お弁当を買いに出たので「相生獅子」はパス。階段を降りたところで、スーツ姿の松江が入ってくるのを見た。玉太郎が出るから観に来たのだろう。

常磐津「三人形」
奴 中村蝶三郎、若衆 中村京純、傾城 中村京珠

蝶三郎がとってもうまかった。京純と京珠は似通った雰囲気の綺麗系の若者。京屋は綺麗なお弟子さんが多い。素踊りなので、傾城が褄をとるように袴を少し持ち上げているのが面白かった。

清元「子守」中村梅丸

袴姿の上にねんねこを着ている。子守の格好と男の子の髪型がそぐわなくてちょっとおかしいが踊りは良かった。2年前に「囃子の会」で観たときは師匠ともども踊りは下手だと思ったが、その後稽古を積んだのか、梅丸はうまくなった。自信を持った踊りだった。

長唄「「鷺娘」中村壱太郎

素踊りの鷺娘は勘十郎のも観たが、そのときと振付が同じかどうかはわからない。勘十郎のときは傘は使わなかったが、今回は傘を使っていた。小ぶりの傘を二つ。私は踊りは観るのが好きなだけで個々の振りの呼び方とかを知らないので、言葉にして記憶することができないのが残念だ。普通の「鷺娘」のように衣装の引き抜きがなく視覚的な刺激が少ないので、少し前に食べたお弁当のせいで眠気が襲ってきて、最後の方は、気がついたら鷺娘が舞台に横たわっていて、終わりだった。

清元「山姥」 山姥 勘十郎、怪童丸 玉太郎、木樵実は三田の仕 亀三郎

「鷺娘」と「山姥」が、たぶん技術的には今日のピークだったと思う。お弁当の後だったので、かなり眠ってしまったのが残念だ。勘十郎は、上に一枚薄物を羽織っていた。

長唄「七福神」 大谷廣太郎

弟と同じで伸びやかなのは良いが、少し迫力が足りない。

次の「茶音頭」はパスして、何か飲み物を買おうとロビーに行ったら、女性たちに囲まれている美少年がいた。梅丸らしかったので、ツーショットの写真をとったりサインをもらっている人達に交じって、携帯で写真を一枚とらせてもらった。スーツにネクタイで、綺麗にしている。中学2年だそうだ。見ず知らずのおばさんにも写真用の素敵な笑顔を作ってくれるのが、流石にプロ。

清元「文売り」 藤間勘奈凰

中に台詞が入る。ベテランの踊り手さん。

常磐津「粟餅」 中村蝶之介、中村吉二郎

2人で餅をついたり、いろんな踊りを踊ったり、楽しい演目だった。

長唄「娘七種」 五郎 種之助、十郎 米吉、静 隼人

一番背が高くて大人っぽい隼人が何故か女形。将来的に女形になることもないだろうに、真面目に勤めている。種之助は、とてもうまい。流石に歌昇の息子だ。米吉は、まあまあ。隼人が年上に見えるのだが、「かぶき手帖」で調べたら、みんな平成5年生まれで、隼人だけ遅生まれで1学年下なのだ。

清元「北州」 藤間咲良

これは、舞踊会ならではの、上級者向けの踊りだった。きょうはたまたま、隣に座った方が日本舞踊をされている方で、ご祝儀ものの踊りで、中にいろいろな踊りが入っていると教えてくれた。歌舞伎の舞台でよく見る楽しい踊りではないが、踊りを堪能した。藤間咲良さんは勘十郎さんの内弟子で、最近めきめき力をつけているという若手の舞踊家だった。

長唄「近江のお兼」 藤間勘洋舞

さらしを振る踊り。若くて元気な踊り手さん。

常磐津「末廣狩」 大名 澤村國矢、太郎冠者 市川左字郎

狂言を元にした舞踊だ。台詞が多かった。しかし、國矢も左字郎も踊りがうまかった。もっと舞踊度が高いのを見たい。

長唄「越後獅子」坂東亀寿

亀寿の踊りは初めて見たが、悪くなかった。

清元「浮かれ坊主」坂東亀三郎

袴姿の上に絽の羽織。今回は歌舞伎俳優は平成生まれが中心で、亀三郎は「上置き」というべきか。踊りはなかなか良かった。

常磐津、長唄「奴道成寺」 白拍子花子実は狂言師右近 種太郎、所化 廣太郎・種之助・米吉・廣松・隼人・男寅・梅丸・やゑ亮

素踊りなので、所化は紋付袴の格好だった。その先頭が勘十郎で、しんがりが亀三郎で「きいたかきいたか」と言いながら花道を歩いて舞台に行った。この中で種之助・米吉・廣松・隼人・やゑ亮が平成5年生まれ。舞台に並んで順番に台詞を言った。テンガイを持っていたのが隼人。隼人は背が高く、首が長く、肩が薄くて華奢。遠くから見ると西洋人の美少女のような体型だ。

種太郎は、左右に所化が居並ぶ中、最初は黄色い地の短い着物を羽織って出て来た。あれがない方が動きがよく見えるのにと思った。その着物を脱いだ後、お面を三つ使って男女を踊り分けた。種之助は歌昇に似て負けん気が強そうな顔をしているが、種太郎はもう少し色男系の要素がある顔をしている。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://wonwon50.asablo.jp/blog/2010/07/31/5260735/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。