芸術祭十月花形歌舞伎 夜の部2011/10/23 00:00

2011年10月22日 新橋演舞場午後4時半開演 1階4列17番

「小栗判官」

きょうは睡眠が足りていたので途中で眠らなかった。素直に楽しめた。

「序幕」

小栗判官が出てくるまでが、結構長い。今月、笑也を再発見した。初めて観たとき、笑也は二十代で、可愛い女の子の印象だった。大きい役をやるのを久しぶりに観たが、相変わらず綺麗だが年増女になって、多少腹黒かもしれないキャラがよくわかった。でも魅力がある。

段四郎が体調不良で休演なので、横山大膳は右近。右近はうまいけれども、段四郎の方が大物感がある。髪の色は段四郎と同じで、灰色にしている。

小栗判官役の亀治郎が花道から出てくると盛大な拍手が湧く。熱心に拍手を送っている人々を見ていると胸が熱くなる。

荒馬の鬼鹿毛を調教するシーンがたっぷりあって楽しい。亀治郎が真ん中で見得を切っていても、下手の馬の方に目が行く。後ろ脚で立ちあがるときは、後ろの足役の人が全部持ち上げてるのだと思うとすごい。小栗判官が背に乗って手綱をとると、首を左右に振ってイヤイヤをするのが可愛かった。

竹三郎は動きが機敏だ。この幕の最後に花道から出てきて、最後は鬼鹿毛に乗った小栗判官といっしょに見得を切り、先導して花道を引き上げる。

「二幕目」

この幕が一番見ごたえがある。

前半は喜劇。

獅童は矢橋の橋蔵役を初日よりも練ってきた。下手で家の窓から「胴八、胴八」と呼び、戸を片づけて持っていく大道具の人に会釈して舞台の真ん中に来た。言い立ては、携帯が時刻を教えてくれるようなというか、外国人が日本語を話しているようなというか、自然ではないしゃべり方にしていた。獅童は、さすがに声優もやるだけあって、声やしゃべり方を調節するのがうまい。

胴八(右近)は橋蔵に、浪七(亀治郎)が「これは」と答えるから、その後、こう言えと教えたのだが、浪七は目をつぶって黙ったままだ。橋蔵は浪七の近くに行って、「これは、と言え」と何度も言う。獅童が、いろんな風に「これは」というので、目をつぶっている亀治郎が一度小さくプッと吹き出していた。獅童は「ほっぺたがピクピクしてる」と言った。

獅童は、花道を引き揚げるとき、「ここで転んで、このまま引っ込むんじゃ、あんまり役が悪すぎる」と愚痴った。「亀ちゃんは来年襲名だし、愛ちゃんは熱愛だしね」 客席から「頑張って」と声が飛ぶ。それに「頑張ってって言われても・・」と返す。音楽がかかって踊った後の拍手がすごく、「どうしたんだこれ、今月一番だよ」。「もう一回」と声がかかると、「ここ、温泉の宴会場じゃないんだから」

猿弥に「頼むから帰ってくれ」と言われ、最後は、手拍子に乗って、客席に手を振りながら引っ込んだ。いろいろ「やっちゃえる」のが、獅童の才能なんだろう。

この後、舞台はシリアスな展開になる。次の舞台装置が整う前の、幕外の漁師四人の波づくし、エグザイルのような動きが楽しかった。


「三幕目」

初日に途中から眠ってしまった幕。

亀三郎はお駒と小栗判官の早変わり。

笑三郎は落ち着いた母親ぶりが役にぴったりだった。

照手姫役の笑也が、なんとなく性格悪そうでいい。

猿之助が小栗判官をやったときはお駒は別の役者だったので、照手と小栗とお駒が座敷にいて、お駒がどうしても小栗といっしょになるといって照手を長い袖で叩いたりしていじめ、最後に母のお槇が刺し殺すシーンがあったように記憶している。あっちの方が面白かった。

薪車の赤っ面はインパクトが弱いから、あれが愛之助で、遊行上人の役は薪車で良いのではないかと思ったが、遊行上人の所作を見たら、やっぱり薪車では無理かと思った。つまらない役だとは思うのだが、ある程度踊れないとできなそう。

後ろに飾ってある絵馬の上半分が下にめくれると馬の部分が黒くなり、後ろに宙乗り用の白馬が現れる。

花道の際で小栗と照手は白馬に乗って宙乗りの態勢に入り、遊行上人は舞台の真中で右腕をグルグルッと回して数珠を腕に巻きつけ、セリで下がって行く。

最後は大滝の前での勢ぞろい。うってかわって綺麗な上杉安房守の獅童。男役の笑三郎、春猿が珍しかった。亀治郎の「こんにちはこれぎり」の口上の後、勢ぞろいした役者達の上からドカ雪が落ち、小さい紙の雪片が客席にも飛んできた。

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