平成23年 松竹花形歌舞伎 巡業 日本青年館2011/11/16 21:51

2011年11月16日 日本青年館 午後2時開演 1階E列上手

日本青年館は、前を通ったことはあるが、入ったのは初めてだ。外から見るとあんな大きなホールがあるように見えないのだが。

「瞼の母」

有名な芝居だが、舞台も映画も観たことがない。イメージ的に獅童に合いそうな気がしたが、先月の一心太助の方が面白かった。

幕開き、座っているのは千壽郎。忠太郎の弟分半次郎(宗之助)の妹の役だ。宗之助と並ぶと、千壽郎はけっこう大きい。

無筆の忠太郎が、半次郎の母おむら(松之丞)に肩を抱かれ、右手を上から握られて、字を書くシーンが良かった。そこで忠太郎はたぶん、母というのはこういうことをしてくれるんだろうと感じる。それを知って、おむら達は涙する。こういうシーンでは、獅童の透明感が生きる。

次の幕からは、忠太郎は自分の母くらいの年の女とみると、年齢をきき、子供はいないかと聞いてまわる。

柳橋水熊横町の場では、千志郎が魚やの役で飯台を担ぎ、「けえったら、いっぺえ~」のような江戸弁の台詞を頑張っていた。
金五郎(男女蔵)は、料理屋水熊の身代を狙って、ずっと年上の女将おはま(秀太郎)の婿になろうとしている。夜鷹のおとら(徳松) はおはまとは昔からの知り合いで、金に困って会おうとするが店の者に追い払われる。忠太郎がおとらに金を渡すと、客だと勘違いして髪をなでつけ、気分を出して寄り添ってくるのが笑える。勘違いに気付いてニコッとする獅童の雰囲気が二枚目らしくていい。

この会場には花道はなく、舞台袖を花道がわりにしているが、おとらの引っ込みは、客席の真中の通路に降りて、そこを歩いて行った。

おはまの居間にいるのは、おはまと、娘のお登世(笑也)、小女役のりき弥、女中役の守若。笑也はやっぱり綺麗だ。昔は、玉三郎が絶世の美女だとしたら笑也は可愛いくて男にもてるタイプと思ったが、今は、ちょっとツンとしてるが綺麗な人、という感じ。
りき弥が人を呼ぶような声を出すと、「一心太助」で家光の小姓をやった時の「上様のおなり~」という気の抜けた声を思い出す。女形だからあれでいいのか?

秀太郎は、気持がこもった演技は良いが、台詞がききとりにくい。

忠太郎とおはまの対面は、「おっかさん」というところが面白かったが、クライマックスのわりには感動が薄かった。この男の屈折した性格を描くには獅童は向いてないのか、演技力不足か。

おはまは、お登世の言葉で気持を変え、2人で忠太郎を探しに行くのだが、忠太郎は2人に会うつもりはなく、1人で去る。

「お祭り」

鳶頭役は獅童と男女蔵、芸者役は笑也と宗之助。
鳶頭役の獅童は前にも見たことがあるが、今回は主役で、赤い襦袢も見えるので、余計に綺麗だ。この踊りは、うまい人の技術を見るためのものではないから、見た眼だけを言うなら、今現在ならトップクラスの鳶頭だと思う。途中で、「待ってました」という掛け声が数人から上がり、獅童は「待っていたとはおりがてえ」と応じていた。

獅童と笑也が組んで踊る。2人とも綺麗な割には色気を感じない。獅童は、観客との心理的交流が得意なわりには、相手の女形を綺麗に見せるとか、相手との間に色っぽい雰囲気を出すとかはできないみたいだ。これも技術の問題なのか。

男女蔵と宗之助は美男美女ではないが、こちらの2人の方が可愛いかも。

獅子舞が出てきて、それは頭をとると男女蔵だった。

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