新春浅草歌舞伎 2016 初日2016/01/02 20:03

2016年1月2日 浅草公会堂

第一部 午前11時開演 1階え列25番

遅れて着席したら、お年玉ご挨拶の新悟が花道にいて、「大川」とは今のどこでしょう、というクイズを出し、「す、す、隅田川」と答えた男性がメンバーサイン入りの手拭いをもらっていた。


「三人吉三 大川端庚申塚」

今年最初に見る役者はおとせ役の梅丸。美少年梅丸も今年は二十歳になるのだ。
続いて出てくるお嬢役の隼人。女形は久しぶりだ。台詞の不安定さがなくなってうまくなったと思う。女の高い声から立役の太い声への変わり方がはっきりしていて面白さが出る。
お坊は巳之助。お坊というと松也みたいな甘い二枚目のイメージがあったが、甘くはない巳之助の風貌が、意外と自分にはしっくりきた。
現実の二人はこんな感じなんじゃないかと思ったのは初めてで、そういう意味では今まで観た三人吉三の中で、特にこの場に限れば一番気に入った。
巳之助と隼人はワンピースで共演して気があっているのかもしれない。最後に出てくる和尚吉三の錦之助はこの二人の雰囲気にうまく溶け込めてない感じだった。

「土佐絵」

仲之町を舞台に、名古屋山三(国生)、采女太夫(新悟)、不破伴左衛門(巳之助)が踊る、お正月らしいあでやかな幕。
国生の踊りは初めて観たが、悪くない。巳之助は、静かに回るような所作のときの足取りを見ると、あんまりうまくない。動きが大きくなると雰囲気が出る人だ。

「源氏店」

松也の与三郎は、ニンはピッタリだから期待していた。「しがねえ恋の情けが仇~」の台詞は、初めて孝夫のこの台詞を聴いたときよりも、納得がいった。
お富に気づいたとき、驚いた顔でお富を見るが、「立派な亭主のある身体」というお富の台詞に反応してお富をにらむような動きはない。あれは孝夫系のものなのか。
白粉を塗った藤八を指さして「そこに妙な~」と言う台詞に、菊五郎を感じた。
染五郎の与三郎もいいが、松也もいい。

蝙蝠安の國矢がとてもうまかった。与三郎よりはかなり大人の雰囲気。

米吉は、あの拵えだと身上の可愛さがなくなってしまって、色っぽいが嫌な女に見える。

錦之助は和尚吉三より、綺麗な顔がそのまま見られる多左衛門の方がいい。

最後は「しょーげーおめーを」バージョン。


第二部 午後3時開演 1階え列27番

お年玉ご挨拶は松也。大向うをどんなタイミングでかけるべきか、花道の上で、一人で見得、付けうち、大向うを兼ねてやって見せた。見得をしながら「バーッとわやーっ」と叫んで、「こういう風にやります」と。

「毛抜」

錦の前(鶴松)の髪が立ち上がるのを喜んだり、玄蕃の首が飛ぶと「あ」と言ったり、客席の反応が楽しかった。
米吉が秀太郎で、米吉は今年は可愛い女の子の役はなくて残念だった。
巻絹の新悟は萬次郎に教わったそうで、部分的には声まで似ていた。

「毛抜」は思い出せるだけで10回近く観ていて、粂寺弾正役は演じる役者によって雰囲気が変わるので面白い。親子でも、團十郎と海老蔵、、三津五郎と巳之助は違う。三津五郎はあくまで端正でさわやかな雰囲気だった。巳之助は一癖ありそうな感じなのだが、それがよく伝わってこない。まだ余裕がないのだろうか。
舞台上で太刀を腰に差すとき、差しづらそうにしていたが、花道でもう一本差すときは後見の人と二人ががりでも結局ダメで、手に持って引っ込んだ。


「義経千本桜 川連法眼館」

これはあまり何回も観たので、あと10年は観なくてもいいと思っているのだが、よくかかる。
しかし、松也の狐が可愛かったので観た甲斐があった。図体は大きいが女形のせいか顔と身体の動きが柔らかい。

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