六月大歌舞伎2006/06/05 01:06

歌舞伎座 2006.06.04 午後4時半開演 1階10列11番

1時半から4時まで会社にいて、その後歌舞伎座に回る。

「暗闇の丑松」

はじめて見たがなかなか面白い話。

娘およねが亭主の丑松のことで母といさかいをしている。やがて帰ってきた丑松は用心棒と母を殺してしまい、二人で屋根づたいに逃げる。丑松は幸四郎、およねは福助。

舞台が娼家に変わり、丑松が泊り客として来る。その相手方のおきよが実はおよね。悪い男に騙されて身体をまかせ、ここに売られたという。およねが着替えのために出て行った後で宿の若い者から、およねをここに売ったのは丑松の元親方だと知る。およねは首をくくって死んでしまう。丑松は捕り手が来る寸前に宿屋から逃げる。

親方の家。建具職人や板前がいる。親方は段四郎、おかみさんは秀太郎。使いのものがおよねの死を知らせる文を届けに来るが、おかみさんはりんきのために文を渡そうとせず、破る。やっと親方がとりあげて読んでみると死んだと書いてある。親方が湯に行った留守に丑松が来る。亭主が狙われていると気づいたおかみさんは「仇が討てればいいんだろ」といい、自分と丑松ができれば親方に仇討ちができると誘う。亭主をかばって自分の身ほ投げ出す女の心が憎いと言って、おかみさんを刺し殺す。その後湯やへ行き、親方も殺して逃げる。

湯やの番頭が褌一丁で湯をうすめたり桶を運んだり働きまわっていておもしろかった。

「身替座禅」

亭主の浮気と女房の悋気という普遍的なテーマを上品に、また滑稽に描いた話。

右京は馴染みの白拍子花子が都に宿をとり自分に会いたいという文をくれたのでどうにか会いに行きたいので修行のため留守にしたいと奥方に言う。しかし奥方の玉の井は嫉妬深く、疑い深いので許さない。一晩の座禅なら許すという。右京は、家来の太郎冠者に自分の替わりに座禅をするよう言いつけて花子に会いに行く。座禅の様子をのぞきに来た奥方は座禅をしているのが太郎冠者と知ると激怒し、太郎冠者に替わって自分が座禅のかっこうをして亭主を待つ。やがて戻ってきた右京は、太郎冠者が座禅しているものと信じ、昨夜の首尾を語る。やがて座禅をしているのが奥方とわかり、逃げる右京を奥方が追っていくところで幕。

右京が菊五郎で玉の井が仁左衛門。玉の井役でもうまさはわかるが、昔見た右京の美しさを思うとまた仁左衛門で見たかった。菊五郎は全体的にうまいが、花子のところから引き上げてくるときの花道での「よかったー」というような色ボケしきった表情や、花道での衣装の映え方は仁左衛門の勝ちだろう。

尾上松也は顔も姿も美しい。180センチ超えだそうだがよく背を盗んでいる。

「二人夕霧」

吉田屋のパロディとでもいうべき作品。伊左衛門は二代目夕霧とくらしている。「傾城買指南」という看板を掲げて生計を立てている。客が三人来てお座敷遊びのお稽古のようなことをする。二代目夕霧の留守の間に先の夕霧が訪れる。幽霊ではなく、実は事情があって死んだとウソをついていたが実は生きていた夕霧なのだった。二代目の夕霧がかえってきてもめるが、最後は和解してめでたしめでたしで終わる。

話自体はあまり面白くなかったが、松之さんと、たぶん千志郎さんが若い者の役で出ているのがわかった。こういう楽しみができたのは平成若衆を見たせいだ。

きょうは大向こうさんもたくさんいて、右京が花道を出てきたときの笑いも大きく、雰囲気のいい客席だったと思う。だから日曜の歌舞伎座は好き。ただ、二人夕霧の前に帰る人がけっこういて、客席がややさびしくなった。今は観光シーズンなのか外人の姿も目立った。私の前の二人は外人の夫婦だった。

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