鶴八鶴次郎2006/08/27 18:12

2006年8月27日 三越劇場 午前11時半開演 2階D列3番

玉三郎が出ていた頃は何回か見たことがある新派だが、もう10年以上見ていなかった。好き合っているくせに喧嘩ばかりの芸人という「鶴八鶴次郎」のあらすじに興味があったのと、「西太后」で舞台俳優であることを認識した風間杜夫が見たかったので行った。

新派の演目は女主人公が中心のものがほとんどで、相手の男の役がバカに思えるのが嫌なのだが、「鶴八鶴次郎」は珍しく男が中心。それでも、婚約しながら嫉妬のために喧嘩別れするシーンは男がバカで、年齢は二十そこそこに設定しないと共感が得られないと思った。

風間杜夫は楽屋で贔屓筋の若旦那に「さいですか」とかそっけない応対をするときに心底おかしいと感じない。花柳章太郎にあてられた役だから、花柳が言えば本当におかしい台詞だったのだろう。波野久里子は風間杜夫より演技が安定している。

互いに意地っぱりで喧嘩ばかりしている二人の恋には少女漫画のような甘さがある。ただ、最後、芸に生きようとする女をとどめるために心にもない言いがかりをつけてまた喧嘩別れをする鶴次郎。それを人に打ち明けて泣いて幕。立派といえば立派だが、鶴八は今回は思いとどまってもまた芸人に戻りたくなるだろうし、芸のためなら別れてもかまわないと思っているような夫とこの先末永くうまくやっていけるとは思えない。いろいろ後日談が想像できる話だ。

休憩の後、浪曲か義太夫かあるいは別の何かなのかわからないが、子供の頃何度もきいた「妻は夫をいたわりつ夫は妻にしたいつつ」で始まる壷坂霊験記をきいた。目の見えない夫が、腹痛の薬を家から持ってきてくれないかと妻に頼み、その間に自分は谷に落ちて死ぬつもり、という話だったのか。少なくとも全体をきいたのは大人になって初めてだったので、はじめて話を理解した。

三越劇場は前にも行ったことがあると思うのだが、今回は2階だったせいか天井のステンドグラスなどが珍しくてしげしげと眺めた。

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