歌舞伎座120年 吉例顔見世大歌舞伎 昼の部2008/11/17 23:58

2008年11月16日 歌舞伎座 午前11時開演 1階6列24番

ちょっと上手すぎるかと思ったが、源五兵衛が出てきたとき真正面だったし、源五兵衛は比較的上手よりにいることが多かったので、良い席だった。

「盟三五大切」

三年前に観たときは仁左衛門は三五郎役で、源五兵衛は吉右衛門だった。今回は仁左衛門は源五兵衛、三五郎役は菊五郎。 小万は同じ時蔵。 序幕、舟の上で三五郎と小万が話しているとき、仁左衛門は小魚を舟のヘリに打ち付けて殺して別の入れ物に移してたが、菊五郎はあれはやらないなあ、と思ったが、そんな小さいことよりも全体として全く違う印象を受けた。 仁左衛門の三五郎はあまりにも格好良くて、2日後にもう一度観にいったくらいだったが、菊五郎の三五郎は、そういう二枚目的なかっこよさはない。三五郎は二枚目役ではないし、菊五郎の三五郎の方が正しいような気がする。

源五兵衛は、前回は何を考えてるかわからない得体のしれない怖さのある人物だったが、今回は、考えていることがよくわかる。いとしい小万の首をとり、その首を前に食事して、二人で食事しているような気分になろうとする。とてもわかり易い。前回は2回観たのに源五兵衛のことがちっともわからなかったのは単に私が三五郎しか見ていなかったからなのか?

5人切りの時の一つ一つの殺しの迫力が凄い。三五郎が、死んだ小万の首に、食べさせる真似をして箸を近づけたのに、小万の口が開くとびっくりするのが面白い。あのときの仁左衛門の驚いた顔は印象的だ。

六七八右衛門役の歌昇はうまい。年齢が行っているせいで、家財道具を持っていかれると困るという時に、家事一切をやっているらしい雰囲気があった。

初舞台のときは信二郎におぶさって花道を出てきた梅枝が、錦之助と濡れ場を演じるほど大きくなったわけで、月日の流れは速い。「覗いちゃやーよ」という台詞が面白い。

「廓文章」

雁治郎襲名のときに観て、観客を眠らせるようなリズムを持っている芝居だと思ったが、きょうもやっぱり、メリハリがなくて退屈し、いつの間にかウツラウツラしていた。

昨日、秀太郎が花道会のセミナーで言っていたように、喜左衛門は、おきさを呼んでくると言って別の部屋に行き、入れ替わりにおきさが出てくる。二人で伊左衛門としゃべるシーンはない。二人を相手に仁左衛門の伊左衛門がやる、「ゆー・・・・こはどうした?」をはじめ、向こうから夕霧の名を出させようとして、出なくて怒る場面がない。あれは、このつまらない演目の中で唯一私が好きなところなのに。

おきさが舞台に出てくるときに持ってきたのが、昨日言ってた「蓬莱」というものなのか。今まで気にとめたことがなかった。昨日言っていたように、おきさは無地の紋付を着ている。

愛之助がやったような主要な役としての幇間がなく、三人で手紙を持って踊ることもない。

夕霧は出てくるときに扇子で顔を隠していて、玉三郎だと扇子をはずして顔が見えたときにおおっ、と感動するのだが、魁春だとどうでも良い。ごめんなさい。

亀鶴は伊左衛門が吉田屋に来たとき出てくる若い者役だ。個性的な役だとインパクトがあるが、普通の役だと特に魅力がない役者に見える。

コメント

_ ふらり ― 2012/09/08 07:03

廓文章の「観客を眠らせるようなリズムを持っている芝居」とは、的確な表現だと思います。

_ wonwon50 ― 2012/09/09 00:41

ふらりさん、こんにちは。

廓文章は、松嶋屋のときは寝ないのに、藤十郎だとなぜか寝てしまいます。私は能でもシテが出てくると寝てしまうので、何か共通するリズムみたいなのがあるのかと考えます。

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