平成中村座 壽初春大歌舞伎 昼の部2012/01/07 19:37

skytree
2012年1月7日 午前11時開演 1階10列14

平成中村座のある隅田公演に近づくと、スカイツリーが下の方からよく見えた。

きょうの席は、松席の一番後ろ、一番上手の端。右側に細いながら通路があるので芝居中だけでも荷物を置けるので便利だった。座椅子があって寄りかかれるのは楽。こんぴらはもちろん、永楽館よりも快適だった。

「鳥居前」

萬太郎の義経が良かった。梅枝の静御前は安定している。梅枝はいつもうまいが、萬太郎がずいぶん安定してきた。顔がかわいくて、声も良い。

獅童の狐忠信は一生懸命やっていたし、最後は狐六方の引っ込みもあって嬉しかった。しかし、所作事になると獅童は縮こまる感じがする。せっかく身体が大きいのだから、下手でもいいから伸びやかな動きが見たい。

「身替座禅」

一番最初に揚幕から出てくる右京の勘三郎。久しぶりだ。
最初の「会いたい」から客席に笑い声が起きるのは流石。

弥十郎の玉の井は、女形になってもとくに怖い顔ではないが、大きな身体がゾウのように右京に近づくと威圧感がある。その身長差が面白さをかもし出している右京玉の井だ。

獅童の太郎冠者が楽しみだったが、やっぱり古典は不得意なのか。普通の侍みたいで、右京に仕えている感じが薄い。奥方のわわしさを言って踊るところでは、手を鏡に見立てて顔を映す仕草にとても魅力があって面白く、獅童らしかった。踊り自体はともかく、パントマイム的には面白い。
「めと言え」と言われて、大きく「め」と言う。七之助の太郎冠者と同じだ。中村屋のやり方なのだろうか。私はこれが好きだ。

千枝、小枝は仲之助と仲四郎。仲之助は美女だ。

花子との逢瀬から戻ってくるとき、勘三郎の右京は、花道でニヤリとする。ここは、菊五郎の呆けた顔の方が好きだ。

「当代一!」と声が掛かったが、確かに踊りのうまさを考えたら、勘三郎の右京が当代一かもしれない。

「雪暮夜入谷畦道」

直次郎の橋之助は、蕎麦の食べ方がうまくない。一回にとる蕎麦の本数が少なすぎるように思う。 その前に、お猪口に入れた酒の上に虫がいるのを見つけ、箸でさっと落として酒を飲むところの動きがもたもたしていて、菊五郎のときに感じるような、「虫なんて、かまわないもんね。ぱっとどけて、酒飲んじゃうもんね~」みたいな江戸っ子の心意気が感じられない。

按摩丈賀は亀蔵、暗闇の丑松は國矢。

大口屋寮の場、三千歳の七之助は綺麗だった。七之助を見るのもわりと久しぶり。國久が新造の役で出ている。例年、浅草公会堂で見る役者が、今年はこちらに出ている。

直次郎と三千歳は抱きしめたりするシーンもあるせいか、愛のある恋人同士に見える。何度も恋人役をやっている二人だから、浅草公会堂の恋人たちとは違う。

最後、直次郎をつかまえに来る手先が、たった2人。直次郎と三千歳が組んで戦えば勝てそう。

コメント

_ KI ― 2012/01/12 23:36

>酒の上に虫がいる
煤ではないでしょうか?

_ wonwon50 ― 2012/01/12 23:44

KI さん、こんにちは。

あれって、煤なんですか。私はずうっと、虫だとばかり思っていました。
目からウロコです。訂正ありがとうございました!

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