サロメ2014/02/20 05:07

2014年2月19日 東京芸術劇場シアターウエスト 午後3時開演 C列18番

坂東薪車が秋元道行という名で舞台俳優になるということなので、どんなものかと観に行った。
10分前に行ったら舞台の上には階段がついた給水塔みたいなものがあり、その周りにマシンガンをもったゲリラ兵のようなお兄さんが二人いた。なので、サロメとヨカナーンの写真からはわからなかったが、現代風な話にしているのだろうと予想した。
私の席はC列だが前の列は端の方の席だけになっていて、実質最前列だった。両隣りの席が男性だったし、歌舞伎とは当然ながら客層が違う。

開幕の前に若い男たちがたくさん舞台上に現れた。サロメの西条美咲は下手の階段から舞台に上がって来た。音が鳴りだし(役者の一人のかげになって私の席からはよくみえなかったが)給水塔の前面に「サロメ」というタイトルが映し出されたのが開幕の合図だろう。初めはしばらく暗かったので閉所恐怖症の私には息がつまる感じがした。

給水塔と思ったのは登場人物の言葉によれば「貯水槽」で、この中が牢屋のようになっているらしい。上からブランコのような鎖が2本下がっていて、人が上がり下がりできるようになっている。ヨカナーンの役の秋元道行は、始まってしばらくはナレーションのような声が聞こえるだけだったが、やがて貯水槽から出て来て、裸足で階段を降りて来た。目はあらぬところを見ている。いでたちは悪く言えばホームレス、良く言えばリア王のようだ。見た目も台詞も、とにかく舞台にいる他の人たちとはまるっきり「違うもの」が出て来たという雰囲気がしたのは良かったと思う。

この役に合うかどうかは別の話として、秋元道行は舞台映えする人だ。はっきりした顔立ちと長身で得をしている。

ヨカナーンの役に合うかというと、サロメの台詞から想像するヨカナーンとは違う気がした。20代の韓流スターでも使った方がイメージに合ったのではないか。

ヨカナーンの出番は短い。最後に「首」が貯水槽から上がって来るが、あれは作り物だ。生首が出るのはちょっと歌舞伎的。

西条美咲は映画の「赦免花」に出ていた。その舞台挨拶で見たことがあるので、きょうで2度目。小柄な女の子だ。サロメののりは、不良少女風と言うべきか。途中で衣装から素肌が透けて見える格好になり、一瞬だが全部脱ぐので、西条美咲のファンなら毎日通う価値があるだろう。

モロー展を見に行ったとき、サロメの絵があったので「サロメって何なの」と、いっしょに行った友人に訊いたら「ストリッパー」と答えた理由がきょうわかった。

大和田伸也と島田洋子が、サロメの義父と母の役。ヨーロッパのパーティに出るような衣装だ。その取り巻きの人たちといっしょに、客席から舞台に上がって来る。みんなベテランのうまい人たちで、もったいない気がした。
大和田伸也と島田洋子は長く出ているが、この人たちの場面で眠くなった。それは、役者が悪いのでも脚本が悪いのでもなく、単純に、サロメについては、サロメとヨカナーンの話しか面白くないからだと思う。
サロメとヨカナーンの首を描いたビアズレーの絵は魅力があるし、二人をテーマにした舞踊演目でもあったら面白いだろうが、サロメと親の関係なんかどうでもいい。

他に、舞台上で知ってる顔は山崎裕太。串間保も、どこかで見た顔だと思った。名前は知らなかったが尾関陸と瀧沢犬太郎は可愛かった。サロメと母以外は全員男性。

終演後のロビーでは各役者の写真を売っていた。1枚300円。
プログラムは2000円。稽古風景の写真がついている。
何人かの役者がロビーでファンと話していた。

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