ミュージカル 狸御殿2016/08/07 14:08

2016年8月6日 新橋演舞場 午後4時半開演 1階16列35番

シンデレラと「白鳥の湖」が合体したようなストーリーだった。
ガラスの靴のかわりに、草履、草履は誰でも履けるから国中の女と面接することになる。

渡辺えりが足を見せて歌うシーンくらいインパクトがあるシーンが次々に出て来たら全体ははちゃめちゃでももっと見応えがあったろうと思う。他のシーンはつまらなくはないが小粒。B級がぞろぞろ出てくる感じ。
押しつけの感動シーンがないから鼻白むことはないのが救い。

最後の方の、オペラ歌手の翠千賀と歌手の城南海の対決はなかなか良かった。翠千賀の役は王子さまのお妃候補で、「白鳥の湖」のオディールがスペイン人のダンサーを従えて夜の女王のアリアを歌っているようなキャラ。

松也は最後の太鼓と、「東西。まづこんにちはこれぎり~」が一番良かった。 王子さまらしい華があり、衣装がどれも似合う。立ち回りは、「小金吾討死」のときより良かった。

宮本亜門の演出だからダンスはまとも。歌は、本職の二人はうまいとして、台詞を音にのせて歌うところが、渡辺えり以外は下手。「ミュージカル」とは言っても、踊りや歌に完全に魅了される瞬間はない。

國矢と徳松も赤井英和の子分の役で出ていた。

八月納涼歌舞伎 初日 一部2016/08/09 23:22

2016年8月9日 歌舞伎座 午前11時開演 1階12列26番

「嫗山姥」
観るのは三度目くらい。面白かった記憶はなくて、女形の見せ場があったとだけ覚えている。
きょう見ても、話は頭に入ってこない。しかし八重桐役の扇雀は、所作はうまくないが、面白い味が出て来たと思う。

「権三と助十」
これは初めて観た。染五郎と獅童は同い年のいい男なのにがっぷり四つで共演することが少ない。それは歌舞伎役者としての格や実力の違いからしかたないのかもしれないが、二人が組むとどんな感じなのか、見てみたかった。
結論としては、この話みたいにいっしょに駕籠かきをやってるコンビのような場合、もっとタイプの違う二人の方が良いと思う。たとえば、次の部で弥次喜多をやった染五郎と猿之助のように。

わりと楽しい話で、ハッピーエンディング。昼寝から起きてきたときの権三(獅童は黒い褌がハイレグの海パンのように見えて、身体に入っている入れ墨もかっこよく、そのまま海に行けそうだった。

役に一番ぴったりでうまかったのは、権三のおかみさん役の七之助。牡丹灯籠の前半みたいで、すごくいい。

巳之助は、助十(染五郎)の弟の役。獅童と染五郎の声が時に聞き取りにくかったので、巳之助の大音量が良かった。

権三と助十に恨みを持つ勘太郎(亀蔵)が酒を持って礼に来るシーンが緊張感があって面白かった。

八月納涼歌舞伎 初日 二部2016/08/10 00:28

2016年8月9日 歌舞伎座 午後2時45分開演 1階16列26番

「東海道中膝栗毛」

二部はこれがあるから人気なのだろう。染五郎と猿之助のコンビは私も観たかったが、予想よりずっとエンタメに徹した芝居で、コクーン歌舞伎や昔の納涼の新作、それにワンピースを思い出した。

真っ暗な中で舞台が少し明るくなると、金太郎と團子の二人。金太郎は若様で、そのお供が團子。台詞をいわゆる「棒読み」の金太郎に対し、台詞らしく言う團子。二人の個性の違いが面白かった。團子の方が達者でプロっぽいが、それが何十年先の役者としての優劣を約束してもいないところが歌舞伎の面白いところ。長生きして、二人の行く末を見たいものだ。

場面が変わると、舞台の上の舞台で吉野山を踊っている。静は春猿、忠信は猿弥。二人の後見の黒衣が、弥次喜多の染五郎と猿之助。舞台でいろいろ失敗があって、弥次喜多は逃げる。

読売屋の文春(ふみはる)の役が弘太郎。狂言回し的なことをするが、ノリと動きが良かった。文春は、あのセンテンススプリングのこと。リオで体操男子団体が金メダルをとった、とか時事ネタを言う。
これ以外にも、旅籠の「五日月屋」は都知事が使っていたとかいう「三日月屋」にかけたもので、「経費で」という言葉が出たりする。

女役者十六夜は壱太郎。踊りを披露する。離れ座敷にいる十六夜のところに行こうとして、弥次喜多は幽霊に会う。

富士川を渡ろうとして川に落ち、クジラの背中に逃れて、海に運ばれる。そしてラスベガスへ。

ラスベガスの場には、劇場支配人のデビッド役の獅童が出る。獅童はこの後、奉行の役でも出て、それもまあ良いのだが、きょう見た中ではこの支配人の役が一番、余人をもって代えがたいものに見えた。

この場はショーガールが出てきて色っぽく踊るし、アラブ人の金持ちの奥さん役の笑三郎が貫禄。染五郎と猿之助が連獅子を踊る、という劇場のシーンのときは一階の各桟敷の後ろにドレスアップした客が現れて雰囲気を盛り上げる。
連獅子のシーンは良かった。猿之助の赤獅子は最近では珍しいような気がするし、二人の毛ぶりが観られて楽しかった。
ルーレットのいかさまがみつかって逃げた弥次喜多は噴水のある池に飛び込む。本水でバシャバシャやって、前方席の人たちはビニールを広げて持っていた。
ラスベガスの場は、ワンビースの第二幕のように楽しかった。

三保の松原の場では切腹しようとする金太郎を團子が止める。その台詞が、たぶんヤマトタケルかなんかの引用なので、笑える。そして、海から大きな天照大神(笑也)が現れて、二人を助ける。

最後の伊勢の場に奉行役の獅童が出る。この日は花火大会。背景のプロジェクションマッピングに花火が次々に上がり、客席では何かが破裂してテープが後ろの方まで飛んで来た。

弥次喜多は、花火の大筒の中に隠れていて、火がついたので空に上がる。という設定で、宙乗り。浴衣姿で、少し上にいる猿之助の浴衣の裾に染五郎がつかまっているような形の宙乗り。染五郎は途中で手を離して、鉄棒のように何回かクルクル回った。

舞台では奉行役の獅童が扇子を掲げて、幕となった。

「紅翫」
こちらは、オリジナルの納涼メンバーの踊り。久しぶりに勘太郎の踊りが観られて嬉しかった。

第二回 双蝶会2016/08/29 23:34

2016年8月24日 国立劇場小劇場 午後1時開演 13列34番

入り口でプログラムを手渡された。

「車引」

梅王丸と桜丸、編み笠で顔は見えないが、又五郎に似た声は種之助に違いない。桜丸はどこかで聞いた声。梅丸だ! 
梅丸の繊細な横顔が可愛かった。声はかなり安定してきた。種之助はやや絶叫気味。
歌昇の松王丸は良かった。気のせいか正月に観た獅童の松王丸に顔が似ている。

「寺子屋」

蝶三郎のよだれくりは関西喜劇風。
種之助と米吉の源蔵、戸波夫婦は、まだ若い感じがする。
歌昇の松王丸は、小柄でどうかなと思ったが、最初の派手な衣装が似合っていて立派だった。咳の仕方は下手だと思った。小太郎が首を落とされる物音を聞いてよろめくところや、首実検の「でかした源蔵、よく討った」のところは良かった。
直近で観た「寺子屋」の首実検が成田屋型だったから、普通のはこういうやり方だよな、とまじまじと見てしまった。
松王丸と春藤玄蕃が去って、若君を戸棚から出したところで、膝立ちの種之助が若君の頭を包み込むように両腕をまわした。
千代役の梅枝は、大人が出て来たと思った。本公演での戸波が素晴らしかったし、今回の千代も本公演レベル。
義太夫に乗った嘆きのシーンは踊りのうまい梅枝ならではの美しさ。その間に脱いだ着物を着なおしている源蔵が目に入った。いつもと舞台のサイズが違うので、いつもは見逃してしまう細部に気づく。
戸波が首のない小太郎の亡骸を抱えて出てくる。親だったら泣き崩れる瞬間だろう。小太郎の亡骸を入れた籠の方に行こうとする千代を止める松王丸。
源蔵が手を合わせているときは、松王丸の書いた筋書通り小太郎を殺すはめになった源蔵を思った。
歌昇には悲劇が似合うというか、悲劇の主人公を演じる歌昇を見たいと願っている私にとっては、後半の松王丸もとても良かった。
歌昇と梅枝、同じときに初舞台を観た二人が、こんなに立派に松王丸と千代を演じるのを観られるのは、長く歌舞伎を観てきたことへのご褒美か。