平成28年度松竹大歌舞伎 入間 Aプロ2016/10/03 22:52

2016年10月1日 入間市民会館 午後4時半開演 1階20列7番

「獨道中五十三驛」

Aプロは、巳之助が13役早変わりと丹波与八郎をやり、猿之助はおさん実は猫の怪と由留木調之助をやる。Bプロはその逆。

私が観た夜の部はAプロなので、猿之助は序幕には出ない。おもだかの主要な役者が次々に出て、丹波与八郎の父の役(寿猿)が殺されたところにやらずのお萩(春猿)が出てきて、座りなおして劇中口上。殺されている寿猿も起こす。口上が終わると、また死ぬ。

最後は丹波与八郎(巳之助)が出てきて、皆でだんまり。

私は二幕目が一番楽しめた。化け猫役の猿之助の所作が見もの。おくら役の段一郎も活躍する。最後は、舞台の上をずっと宙乗りするが、はらはらすることもなく猿之助の動きを目で追うことができてなかなか良い。
小さな猫の踊りは「カステラ一番電話は二番」のCMを思い出した。着ぐるみの大きな猫も面白かった。

猿之助だとできて当たり前だから、巳之助の13役早変わりはスリルがあった。特に女の役三連発がドキドキ。巳之助は女形の顔は綺麗だが所作が少しぎこちない。芸者のこしらえでひっこむとき、褄を取るのに少し時間がかかっているようだった。

GOEMON2016/10/12 23:30

2016年10月3日 新橋演舞場 午後4時開演 1階4列9番

30年ぶりにアントニオ・ガデス舞踊団を観た翌月に「GOEMON」を観ることになるとは、神様の嫌がらせかとも思ったが、五右衛門(愛之助)にフラメンコを教わった阿国(壱太郎)が、そのリズムから新しい踊りを創り出すシーンは今回も素晴らしくて、観た甲斐があった。

教えるシーンで、愛之助はけっこう真面目に踊っているのでちょっと感動した。花道に来た時、履いている靴が見えた。「フラメンコ」の言い方にメリハリがきいていて、笑いを誘っていた。
きょうの席は花道七三に近く、壱太郎の海老ぞったときの顔がすぐ近くに見えた。舞台で五右衛門と阿国がフラメンコの練習をしている時に、父のカルデロン神父の幻影として今井翼が七三からせり上がってくるので、あっちを観たりこっちを観たり、忙しかった。
今井翼は今までほとんど知らなかった。スペイン語の歌はイマイチだが、フラメンコは嫌いじゃない。霧隠才蔵の拵えが似合っていた。

阿国の弟子たちは女性だが、女性の中に入っても壱太郎は一体化している。猿楽の一座は女性の中に千壽、竹之助、折乃助が入っていて、こちらは大きさが違うのでわかる。

五右衛門の子供時代を演じる千太郎は今回初めて観たが、なかなか堂々としていて感心した。良い役者になりそうだ。

佐藤浩希がフラメンコを踊るとき、ギターは日本人だが、歌はスペイン人。このスペイン人だけは、アントニオ・ガデス舞踊団の舞台にいてもおかしくない。後半に、上手に大薩摩、下手にフラメンゴギターとこの歌手がいて順番に歌ったのは面白い趣向だった。

石田三成役の吉太朗と、加藤虎之助役の種之助の連れ舞があった。踊りのうまい二人は見応えがあって、もっと観たかったが、すぐ終わってしまった。

吉弥は序幕で石田局、二幕目では名古屋山三で大活躍だった。「鞘当」のパロディがあったが、立役は慣れていない感じがした。他の役者たちが客席を駆け回っている間、舞台の上でトンボを切らせていた。最後は自分も刀を持って客席を歩いていった。

終わり近くに女性のフラメンコダンサーがたくさん出てきて踊る。踊り自体に見るべき点はないが、録音で流れるスペイン語の曲が良くて、女性歌手がうまいので、気持ちよく見られる。音楽は大事だ。

芝居の後、愛之助と今井翼が出てきてカーテンコール。愛之助は「歌舞伎にはカーテンコールはありません」と言った。

八代目中村芝翫襲名披露 十月大歌舞伎 夜の部2016/10/15 01:05

2016年10月10日 歌舞伎座 午後4時半開演 1階16列29番

「外郎売」

大磯の虎は七之助、化粧坂少将は児太郎、舞鶴は右近、喜瀬川は梅丸、と綺麗どころが揃う。珍斎だけは声を聞いても誰だかわからなくて後で筋書を見たら吉之丞だった。
松緑は台詞は下手だが外郎売の早口言葉は問題ない。所作はやっぱり綺麗。

「口上」

藤十郎が襲名の次第を説明し、隣りの玉三郎に「玉三郎さん」と口上を促した。藤十郎は紫、玉三郎はオレンジ色の肩衣で、並んだ二人が華やいで見える。我當はいつも朗々たる声で台詞を言っていたのに、きょうは声が小さくて発音も不明瞭だったのでショックだった。病気したのだろうか。次の菊五郎が「奥さんに叱られながら」と言って笑いをとったのでほっとした。いつもながらユーモラスな口上。

「熊谷陣屋」

いつも見ているのは團十郎型、きょうのは芝翫型、ということで、違いがある。

熊谷直実が赤っ面。最後、熊谷は花道に来ないで、屋台の上にいるままで「16年は一昔」の台詞を言って、幕になる。

「藤娘」

玉三郎は綺麗だが、全体に淡々とした印象。最後は、藤の枝を持って顔の横に花を垂らしながら花道を引っ込んだ。きょうの席からは、鳥屋に引っ込むまでよく見えた。