三越カルチャーサロン 歌舞伎おもしろ講座 2回目2006/11/21 01:00

2006年11月20日 三越カルチャーサロンにて 午後5時半~6時半

演舞場から日本橋の三越本店に移動。5時少し前に三越新館9階の三越カルチャーサロンの受付に行った。前回行かなかったのでまだ受講用のカードをもらっていなかった。受付で名前を言うと三回分の日にちを書いたカードをくれて、次もこれをもってきてくださいと言われた。

男の人が、講座の行われる部屋に案内してくれた。横が広くて奥行きがない部屋だった。

左にあるホワイトボートに「片岡愛之助が語る歌舞伎にかける想い」と書いてあった。

会場前方には金屏風があり、その前にテーブルがあった。開始時間が近づいて係りの人が水差しを二つ持ってきたので、インタビュー形式だろうと思った。

開始予定時間の5時半に、私がこの講座の支払いに行ったときに受け付けてくれた女性が前に出て挨拶し、写真と録音はきょうはダメですと言った。

愛之助と、元NHKアナウンサーの後藤美代子さんが入ってきた。愛之助はスーツ姿。後藤美代子さんが「上方歌舞伎の明日を担う方のお一人」と紹介した。トップランナーのことなどをあげ、非常に要領の良いわかりやすいしゃべりだ、と持ち上げた。

後藤   まだお若いんですよね。

愛之助  34。 34が若くないというと問題発言になるので。

後藤   でもお若いという感じがしますね。

愛之助  ありがとうございます。

こんな風に始まった。

18日に国立劇場であった講座の内容を紹介したブログを読むと、きょうの話と重複するところがあるので、重複部分は省き、私がへエーと思ったところや愛之助の話に対する感想などを書く。

■ 主税の鬘をつけて見たらどっから見ても子供じゃない。数馬は完全に真っ白に塗り時代考証などもめちゃめちゃなので案外平気だったが忠臣蔵はリアルだから照れくさい。

■ 数馬も主税も高い声だが、高さは少し違う。(へえー、きづかなかった)役にはそれぞれ魂があるからそれぞれ別に演じる。羽倉斎宮はこういう人だとお客様に感じてもらえれば幸い。

(ちょっと話がわきにそれて本筋の質問を忘れてしまった、という後藤さんに愛之助が「思い出したら聞いてください」と言う)

■後藤さんの「上方の言葉を使えるのが強み」という質問に対し、「それくらいしかない。逆に江戸のものが苦手」

■十月みたいな線の細い役は久々。前髪つけるのが恥ずかしかった。(十月にいらっしゃった方は、という後藤さんの質問に多数挙手)

■ 後藤さんの「南座、松竹座でやるときはふるさとに帰ってきたような気がするか」という質問に「はい。」「はじめは東京に来ると大都会に来ちゃったような感じだった。今はどこへ行ってもしあわせ。サラリーマンだったら飽きると思う。皆さん、飽きません? ホテル暮らしもなれてくる。トランクとダンボール三つか四つで移動。パッキングもうまい」。

後藤 年中全国ツアー?

愛之助 そんな感じ

■ 伊勢音頭は、最後「めでたいのか?」と思う。それが歌舞伎の不思議なところ。福岡貢の役はとても難しくてそれだけは勘弁してほしいと松竹に言いたいほどだった。 貢の役は忠兵衛の役よりもやっていて気持ちいい。 4月はいろいろ事情があって浅黄の衣装でできなかったが次回は浅黄でやりたい。

■ 忠兵衛の役は発散するところがなくてストレスがたまる。浅草でやったとき良かったのは八右衛門と両方の役をやり、八右衛門の方で発散できたから。八右衛門の方が正論を言っている。型の違うのをいっしょにやるのは難しい。

■ 油地獄のときは、あまり派手にころぶなと(ドリフじゃないんだから、と愛之助は言っていたが仁左衛門さんは言ってないと思う)言われた。 花道で一旦止まって、また走ってひっこむのがすごくしんどい。(私が仁左衛門さんの与兵衛ですごい、と思い脳裏に刻み込まれているイメージは、この、花道で一度止まっているところ)

■ 平成若衆で、油地獄とウエストサイドストーリーをミックスしたようなのをやったことがある。与兵衛が逃げた後の話は普通やらないが、その後どうなったか疑問に思う人はいる。平成若衆ではその後もやった。油がお客さんにとんだりするといけないので一度真っ裸になってもう一度水で濡らした浴衣に着替えた。それで戸板倒しもやった。

■ 義賢最期の仏倒れで一度ひどく鼻と口をぶつけたことがある。歯はかけていなかった。鼻はあるか、と触ったがしびれていて感じない。鼻血はなかったが鼻の下を切った。その次の日はちょっと怖かった。これほど、シンが身体を張る演目はない。蘭平もはしごは上るがあとは下で支えてもらって見得を切るだけ。

■ 「戸板倒しは、大丈夫なんじゃないかと感じる」という後藤さんの言葉に対し「あの上に乗ってみてください。倒れるときはひゅーーーーーーーーーーーー、これくらい、滞空時間が長い。お客さんのキャーという声で怖くなる」

■ 定九郎は倒れてからいろいろしなくてはならない。猪が走っている間にやるのだが、東京は一周まわるのに対し上方は猪がそのまま引っ込むので時間が短い。どうしてかと我当伯父に聞いたら「猪は猪突猛進やろ」と言った。

■ 定九郎で傘ひろげたら折れたことがある。

■ 最後は質問コーナー

・十三代目最後の顔見世を見た人が、そのときの思い出、エピソードなどを質問

愛之助 「きょうは休まれてしまうか、と毎日考えているような舞台でした。  自分が手をひいてはいたけれども、目が見えないで舞台なんか 自分が歩けると思えない。」

・女形が見たい 梅川は? 夕顔が一番キレイだった。

愛之助 「梅川は封印したい。できが悪かった。」「夕顔といえば源氏物語の 寂聴さんに従姉の出ていた芝居を見に行ったときにお会いした。覚えていてくれて独演会だった。」

・勉強会について 関ノ扉などどうか。 亀治郎さん、染五郎さんとトリプルキャストで。

愛之助 「関ノ扉はやっても、皆さん来てくれますか? 来てくださればやりますけど。上下やるとけっこう大変。 やったことあるんですよ」

・すし屋の権太は自分がやってもらいたいと思っていた三つの役のうちの一つなので嬉しい。

愛之助 ちなみにあとの二つは?

質問者 もうやられましたが~(忘れた)と、富樫

(富樫でうなづく人多し)

愛之助 弁慶は誰で?   じゃあ、染五郎さんに頼んでおきましょうか。お父さんも何回もやってらっしゃるようなので。

・その他、質問ではないが秀太郎さんの大ファン、孝玉時代からのファンだが最近顔をすると仁左衛門さんに似てきた、など。

(感想)愛之助さんは、こうやって、ああやって、こうなって、と舞台のことを身振り手振りを交えて語ることが多い。たぶんご自身には舞台の様子が見えているんだろうが、素人の私にはわからないところもあった。

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