三月大歌舞伎 夜の部 ― 2007/03/23 00:01
2007年3月21日 歌舞伎座 午後4時15分開演 一階8列26番
「木の実」「小金吾討死」
「木の実」があると「すし屋」のいろんなことがわかるというのがとってもよくわかった。権太が最後に吹く笛も、あんな苦しい息のときに自分で吹かないでお里にでもかわりに吹かせれば、と思っていたが「木の実」であの笛が出てくると自分で吹く気持ちがわかる。権太が最後に袋に頬ずりするのもわかる。「木の実」の権太はかっこよく、二十年前の孝夫で観たかったと思わせる権太だった。
善太をおぶって花道を歩くシーンがある。愛之助が猿之助におぶわれたのはこのシーンなのだ。
この演目だったら愛之助は小金吾がはまり役だ。仁左衛門の権太と並べて見てみたかった。
「小金吾討死」
とんぼを切ったり綾取りのように縄をかけたり、なかなか見ごたえのある立ち回りだった。組み縄のところは上から観たほうが綺麗なので楽日に3階から見るのが楽しみだ。
「すし屋」
浅草と比べながら観た。「むぁいりむぁした」と聞こえる台詞を、仁左衛門がああいう風に言うんだろうと思っていたが、きょう聞いたら仁左衛門の台詞は「まいりました」と聞こえる。なんだ、あれは愛之助の癖なのか。
お里は、浅草のときは枕2つ見せるようなことしてなかったし、権太が入ろうとしたとき2人であんなラブシーンをしてはいなかったような気がする。孝太郎は予想より良かった。時にミィミィした声がまじるのが嫌なのだが。顔は相変わらず不細工だがそれなりに面白い女になっていた。今まで孝太郎を観た中で一番良いかもしれない。枕を2つ振って見せるようなことを芝のぶのような色気のあるタイプがやったらやりすぎに見えるが孝太郎だと元々色気がないので、やり過ぎにしないと愛嬌が出ないのかもしれない。
愛之助は浴衣一枚になったほうがすっきりして見えたが仁左衛門は元々がすっきりしすぎているせいか重ね着しているときの方がいい。この演目は権太の肌の露出度が高いが、足や肩や胸が綺麗で華奢すぎて奈良の田舎者に見えない。愛之助と同じ年頃の孝夫にはこの役はできなかったろうなあ。客席からジワが出まくりそう。
「川連法眼館 奥庭」
誰のを見てもどうせ猿之助の狐が恋しくなるからもう観たくないような演目だが、どんなもんかと一応観た。菊五郎の狐忠信はわりと狐に見えて、私がイメージする狐に近かった。
好き嫌いはともかく熱演だった海老蔵や勘三郎と比べると欄干の手すりを歩くのも腰を落としてないし私の好きな欄間抜けもないし宙乗りや狐六方もないしケレン味は薄い。
奥庭は着ぐるみの狐が面白かったがそれ以外はつまらなかった。
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