NINAGAWA 十二夜2007/07/26 22:54

2007年7月23日 歌舞伎座七月大歌舞伎 夜の部 午後4時半開演 2階1列32番

舞台に鏡があると聞いていたので幕が開くのが楽しみだった。照明が客席を照らし、幕が開くと舞台の後方と左右に置かれた鏡に客先全体が映り、観客がわーっと言う。

この鏡はマジックミラーで、照明が舞台を照らすと向こう側に大きな桜の木と子供たちと鼓の奏者が見える。とても綺麗な舞台だ。そこに花道から出てくる大篠左大臣役の錦之助も綺麗だ。この舞台装置を見られただけでも来た甲斐があると思った。イギリス人にも見せたい。鏡のおかげで、舞台にいる役者の方から花道はあんな風に見えているのか、と初めてわかった。

難破する船のシーンでは菊之助が琵琶姫と主膳之助を見事に早代わり。琵琶姫が男に化けた獅子丸の時間が長かったが、綺麗な小姓の獅子丸が時々元の女に戻る瞬間が愉快。去年弁天小僧を観たとき感じたように菊之助は両性具有的な役が合う。

亀治郎の麻阿は私の予想より大人っぽい女だった。ビッチキャラというか。声も、本人の地声がわかる声だった。こっそり這って逃げようとしたり、棒で打つ真似をしたり、普通の歌舞伎の所作とは違うものがあった。

配役を頭に置いて書いた脚本なのか、各役が役者の個性に近づいている印象を受けた。それなのでキャラが立っている。時蔵の織笛姫はしっかりしたお姉さん風。

船の遭難で別れ別れになった、そっくりの兄妹がいて、妹は男装して小姓として働き、実は使えている殿様に恋をし、殿様の恋の相手は男装した妹を男と思い込んで恋をし、というストーリーは普遍性を持った面白さがある。歌舞伎化にも向く話なので歌舞伎のレパートリーになることを望む。個人的な好みから言うと、毛色の変わった演目というより、シェイクスピアを翻案した歌舞伎らしい歌舞伎になってほしい。たとえば、最初のシーンの音楽も小鼓は出るもののシェイクスピア劇で流れるような音楽だが、完全な邦楽にしてほしい。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://wonwon50.asablo.jp/blog/2007/07/26/1682460/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。