上野不忍華舞台(うえのしのばずはなぶたい) ― 2008/09/27 22:38
2008年9月27日 上野水上音楽堂 午後5時半開演
開演の10分くらい前に会場に入ったら上野観光連盟の人が舞台の上でしゃべっていた。上野不忍華舞台は今回で9回目だそうだ。入り口で渡されたチラシを読んだら愛之助の踊りは素踊りということで嬉しくなった。
開演時間になったら司会の人が出てきた。NHKの水谷アナウンサー。古典芸能の番組を担当しているが、この司会は地元の代表としてやっているそうで、「黒門小学校、上野中学を出て今は駒形一丁目に住んでいます」と言って、「待ってました」の掛け声を浴びていた。
一、『三味線音楽の華』
長唄女子東音会、鳴物 和歌山胤雄社中
金屏風の前に奏者が正座している。後列は打楽器、前は三味線。大鼓の人の前には大太鼓が置いてあって、両方やるんだ凄いな、と思ったら、小鼓の4人も演奏が進むにつれて太鼓を打つ人、鉦(?)を打つ人が出て、特に小鼓と太鼓の両方をやっていた二人は更に別の太鼓も打っていた。途中で歌(詩吟?)の人も出てきたりして、三響会の番組と比べて考えるとなかなかの大曲で、女性の皆さんが頑張っているのに感動した。
二、『中国の京劇と雑技』
去年までは江戸前の芸能ばかり出していたらしいが今年はそれ以外の芸能も入っていて、これは中国もの。
最初に、可愛い中国の獅子舞が出てきた。本物を見るのは初めてかも。頭の上につけているリボンが赤いのと緑のの二頭。客席にも降りてきて通路で観客に愛想を振りまいた。私は通路際だったのでちょっと顔に触ることができた。
次は、よく京劇で見る背中に旗を何本も差した人二人と、黒っぽいマントを着た人が出てきた。よくわからないが、この人たちの動きはバレエダンサーがやったら綺麗だろうと思った。黒のマントの人は覆面で、手を顔の近くに持っていくと一瞬で覆面の色が変わる。それを何回もやった。やはり客席にも降りてきて、客のすぐ近くで一瞬に色を変えて見せていた。どんな仕掛けなんだろう。
その後は、雑技団らしく、背中を曲げて足の間から顔をこちらに向けた人が5人積み重なったり、瀬戸物の鉢を回したり投げたり、長い棒の上で皿を回しながら芸をしたり、孫悟空の格好をした人が輪の中を飛びくぐったりというような芸が続いた。
三、『淡路人形浄瑠璃』
兵庫県立淡路三原高校・郷土部
始まる前に、郷土部の原口さんという女生徒が司会の人と少し話した。56年の伝統がある部だそうだ。きょうの演目は「えびす舞」。えびす様が接待されて踊ったり、その後、酒を飲んで酔って踊ったりする。人形遣いの生徒達は黒い着物を着ていた。えびすは、大盃で飲んではいるが勧進帳の弁慶を思わせる飲みっぷりで、「上野不忍華舞台の9回目を祝って」とかいろいろ理由をつけて盃を重ねる。「兵庫県立淡路三原高校・郷土部」と書いた幕を裏返すと波の模様になって、舟が出てきた。釣りをするえびすと、船頭が乗っている。えびすがめでたく鯛を釣って幕になる。
語っていた女子が堂々として、とてもうまかった。
この後、しばらく休憩。長袖のジャケットを着て行ったが寒くなったので、暖かい缶コーヒーでも買って暖をとろと外に出たが、自販機の飲み物はつめた~いのだけだった。
四、落語 『お楽しみ』
立川志の輔
気の毒なことにマイクの具合が悪かった。ジョーク集のような枕だったが、本題の、百点満点の5点をとった息子といっしょに学校に呼ばれた父親の話は面白かった。
五、 『江戸の座敷芸』
「大津絵」や「かっぽれ」などの踊り、幇間の、片足で碁盤の上に立って踊る芸、芸者さん達の集団の踊りがあったが、正直、あまり面白いと思わなかった。
六、 舞踊 常磐津『助六』
片岡愛之助
司会の水谷さんは愛之助といっしょに歌舞伎入門の番組をやっていたそうだ。 愛之助はきょうは京都で新派の舞台に出て、化粧も落とさずに駆けつけ(どうせ現代物だったのだが)、明日が新作の映画のクランクインでこの舞台が終わり次第名古屋に行く、と紹介していた。(チラシには清元と書いてあり)助六の踊りは清元のときが多いのだがきょうは珍しく常磐津、と言っていた。
幕が上がってもしばらくは録音の音楽が聞こえているだけ。舞台上に人がいないと間が抜けた感じになる。
愛之助は、助六の出端のように、つぼめた傘に顔を隠して走り出てきた。薄いグレーの着物に、少し濃いグレーの袴。素踊りだが、助六の傘と尺八、印籠は持っている。途中から出てきた今日の後見は松之。
たしか去年の追善舞踊会のときに、誰か女性が助六を踊ったのを観た。その時の印象から判断して愛之助があの格好で踊ってもあまり冴えないのではないかと予想したのだが、素踊りで、自分の男ぶりで見せる形にしたのは正しい選択だったと思う。 がっしりした肩と全体にしっかりした骨格が体型も踊りも端正に見せていた。特に、傘を持った腕を後ろに伸ばし、顔を上に向けて足を踏ん張って決まる助六の型がとても綺麗だった。
助六が終わると幕が途中まで下り、また上がって、芸者連中も出てきて手ぬぐい撒きになった。 愛之助は最後の二、三枚を思いっきり後ろの方に投げて、後ろの方から歓声が上がっていた。水谷アナウンサーの最後の言葉は「愛之助さんの遠投で締めていただきました」だった。
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