當る卯歳 吉例顔見世興行 昼の部2010/12/27 22:09

2010年12月26日 京都四條南座 午前10時半開演 2階2列9番

今はチケットweb松竹で座席を選んで買うことができる。昼の部はずっと迷っていて観劇の数日前に買ったのだが、2階2列目の通路際を買うことができた。観劇したとき、私の左隣りの2席は客がいなかった。売れ残ったのだろう。

「羽衣」

前に歌舞伎座で玉三郎と愛之助で観たので、孝太郎との共演なんか観るもんか、と思っていたが、気にいった席が買えたので気が変わった。

歌舞伎座のときとは演出も振付も変わっていた。歌舞伎座では傳次郎は太鼓で、上手にいた。今回は立鼓で、下手。愛之助の伯龍は下手後方からフワッと出てきたが、今回は盛大な拍手に迎えられて花道から登場した。

孝太郎の天女は、花道の出は玉三郎と同じ。顔を見ると天女のコスプレをした安女郎のようだが、踊りはけっこう見られるので我慢できる。 見た眼は、冠をかぶった天女の姿に衣装替えした後の方がましだと思う。

愛之助は歌舞伎座の時は、天女との年齢差、身長差のせいか、もっと若くかわいく見えた。

天女が天に帰るときは、歌舞伎座のときは玉三郎が花道を引っ込み、愛之助がセリ下がって、高さの違いを現していたが、今回は愛之助は花道の七三にいて、舞台の松がセリ下がり、孝太郎はその後ろにいて雲の上に行くような感じにしてあった。愛之助はすっぽんから下がっていった。

「寺子屋」

観たかったのは種太郎の涎くり。幕あき、ひたすら墨をする涎くり。おっしょはんのいないときに勉強なんかするの損だから遊ぼう~と煽動する涎くり。そこに、「1日に一字覚えれば~」と超KYの管秀才。三人侍のときと合わせて考えると、種太郎は、役作りをしっかりする人なのだ。

「阿国歌舞伎夢華」

前に観たとき、いくら玉三郎のファンでも、こんな綺麗なだけのくだらない舞踊は1回観ればたくさんだと思った。しかし、仁左衛門が相手だと全く別の作品になるのではないかと思い、、どうしても観たくなった。実際、2人が踊っているのを見たら、2人が踊るのを観るのは久しぶりなことに気づき、私を歌舞伎に引き寄せたのはこの2人の世界なんだから、これで破産しても本望だと、やっぱり観てよかったと思った。

この幕は傳左衛門が立鼓で、傳次郎は太鼓。

最初に男伊達の愛之助と翫雀が、愛之助を先にして花道から出てきた。七三で入れ替わって翫雀が前に。愛之助の男伊達は、昨夜、夜の部を観たときに写真を買った。衣装が似合って、顔もとても綺麗だ。たただただ美しいだけのこの演目に溶け込んで乗り良く踊っていた。水が合ってる感じがして、愛之助の資質を思いがけず再認識した。逆に、翫雀は水が合わないように見える。越後獅子に比べると、こっちの舞踊は捨てたのかと思った。

玉三郎は笑也に手をとられて花道を出てきた。後に続く笑三郎、春猿、吉弥。鬼揃紅葉のナントカのときと同じ顔ぶれだろうが、やっぱりこういう風に綺麗な方が良い。どれが誰かもよくわかるし。これ以外の女歌舞伎の中に千壽郎もいた。

仁左衛門は名古屋山三の亡霊の役で、七三から出てくる。2人で踊りだすのを見ると、仁左衛門はいつも色男風の踊りだな、と思う。この前、どんつくで福助相手に踊ったときもそうだった。色男の役以外の舞踊観たのは連獅子くらいだろうか。後見が松之助と贅沢。勧進帳のようだ。、

2人の踊りは二人椀久のときの踊りを思い出させるものがあった。踊りのテーマ自体が似ているし。2人でおそろいの薄紫の足袋を履いているのも萌えポイント。

山三の亡霊は消え、最後、玉三郎の阿国は悲しげな様子で幕になる。


「沼津」

20年以上も前、猿之助と延若で観たことがあり、その時は暗くてつまらない話だと思った。暗い話なのは同じだが、仁左衛門がうまいし3兄弟の息が合っているので、名作だという印象が強い。仁左衛門の義太夫に合った動きは素晴らしい。我當は全然うまくない人なので、平作は演じているような感じがしない。この人がいなくなったらこの芸はもう観られないんだろうなぁ、という思いは、二十年以上前に勘三郎の「文七元結」を観たとき以来だ。

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