2008年 新春浅草歌舞伎 第二部 7回目2008/01/26 22:09

2008年1月26日 午後3時開演 浅草公会堂 2階ち列14番

年始挨拶は愛之助。きょうが第二部の千秋楽だ。客席からの質問に移ったら、最初が「教わった与三郎の演技は、自分の理想値のどのくらいまで来たか」という良い質問で、愛之助は「そんなこと答えられるわけないじゃないですか」と笑っていたが、やっているうちに言われたことがわかってきたりして、最初よりは二段階くらい上がったそうだ。

「金閣寺」

きょうは眠らなかった。今月は3勝4敗。

愛之助は義太夫の言葉も聴くようにと言う。義太夫はマンガで言えば吹き出しの外に書いてある言葉のようなもので、これも聞き取って意味を理解しながら見なければ義太夫ものの話の筋は理解できないものなのだろうな。

獅童の大膳ははじめは存在感が希薄だったが終わりに近づくにつれ良くなった。花形だったらあれで十分じゃないかなあ、生意気なこと言っちゃうけど。知名度高いわりに自己主張が強くないと感じるのはひょっとして歌舞伎の演技に自信がないのだろうか。他の役者達は年中歌舞伎に出てるわけだから無理もないが。

大膳と東吉が打っている碁が遠くからだが少しわかった。2人ともはじめは碁盤の端に石を置いているし、相手の石を囲むように石を置いていたので、めちゃめちゃに置いているわけではないようだ。

きょうの席は花道横の補助席の真上あたりだが、碁盤の見得はこの辺から真正面に見るときが一番良い。

東吉が上ると下がってくる金閣寺の鳳凰を見ながら、三島由紀夫はこの鳳凰を思い出しながら「金閣寺」の中の鳳凰についての一節を書いたのかもしれないと思った。

「与話情浮名横櫛」

とうとう千秋楽になった。これで見納めになるかもしれない愛之助の与三郎なので、きょうはアラ探しはやめて素直に楽しむつもりでいたが、きょうは掛値なく今月ベストの与三郎だった。愛之助がついに与三郎の正しいイメージをつかんでそれに向かって進んでいるように感じた。

見染の場は、最後の呆け方がいい。源氏店の時の声が良くなった。高い声が減り、高い声の時も女形の声に聞こえることがほとんどなくて、動きも含めてずいぶん男らしくなった。

「お前は私のアニさん」とお富に言われ「え?」と驚く声がおとといまでとは違っていた。今日の方が良い。安に帰ろうと言われて「いやだ」というのも言い方が違っていた。「いやだ」はおとといの言い方も良かったが、いろいろ変えて言ってみているのがわかって面白い。今月のように何回も観たことはないので断言はできないが、愛之助はやり方はいつも同じという印象を持っていた。

幕がしまった後、客席の拍手に答えてもう一度幕が開き、愛之助と七之助が挨拶した。

今月は愛之助の与三郎の成長を見るのが楽しかった。よくここまで来たと思う。感動した。やっと出発点に来たような気がするので再演を観たい。

お富の七之助は初めからあんまり良くて何も言うことがなかったが、与三郎に対する情を感じる、とても良いお富だった。