南座顔見世 夜の部 ― 2006/12/24 21:22

2006年12月18日 南座 午後4時開演 2階1列24番
京都国際マンガミュージアムを3時すぎに出て、烏丸通りを四条方向に歩く。四条通りを左に曲がって歩き、鴨川を越えて南座に着いた。道路の反対側から写真をとった後、高島屋で焼き鳥弁当を買ってから劇場に入る。
はじめての南座。劇場入り口を入るとすぐ客席に入るドアがある。焼けた中座もそうだった。客席からすぐ外に出られるのは開放的で好きだ。
「俊寛」
仁左衛門で観るのは二回目。前回は海老蔵襲名の松竹座の3階席から見た。この人がやっても好きにはなれない演目。
今回のお目当ての愛之助は花道から秀太郎に続いて出てきた。おお、親子そろって出てきた、と思ったが愛之助は秀太郎の兄の役だとか。秀太郎は立役でも声が女形のときの声で役になじまない。
演目のせいというより多分午前中からの疲れで、時折ウトウトした。朝ホテルでじゃがりこ一箱を食べただけだったのでさすがにこの時間になると空腹になり、休憩時間に上手側のフォルテの横のコーヒー売場でコーヒーを買った。その売り場の人に「良かったですか?」と聞かれ「良かった~」と答えた。劇場でこんな会話をしたのは初めて。
私の座席は椅子の肘掛のところから小さなテーブルが出るようになっているが座席は狭いしコートや荷物があるし、コーヒーが倒れて隣りの人の着物を汚さないかと心配しながらお弁当をかっこんだ。
「口上」
顔を上げた役者の顔をコーヒーを飲みながら見たら正面に一瞬「仁左衛門?」と思う愛之助の顔が見え、ラッキーだった。仁左衛門は下手側の端だったが、口上で手をついているときでも美しい。「私はこう見えても当代より年上で」はちょっと若ぶりすぎ。仁左衛門襲名のとき吉右衛門が「私はこう見えても当代と同い年で」と言ったのを思い出した。
「娘道成寺」
私は勘三郎の道成寺が苦手で、去年の東京の襲名興行のときはこの演目はパスしたほど。道成寺を観るときはいつも玉三郎のことばかり考えているし、前に観たときは玉三郎に比べると腕が短かすぎて耐えられなかった。今回は、これもありか、と受け入れた。美人ばかりが女じゃないし、あんなきったないおっさんがあのくらいの女に化けられるのはたいしたものだ。ただ、最後の鈴太鼓の打ち鳴らし方は強すぎなような気がする。シンバル打ちの猿を思い出してしまう。
「歌舞伎おもしろ講座」できいた所化の歩き方に注目していたが、平行かどうかは角度的に断言できなかった。
舞づくしは鶴松。ちゃんと言えていた。所化の踊りのところも大人と組んで踊っているし、歌舞伎って不思議。
愛之助の役で二回目を見たのはこの所化がはじめて。7月のときはタコを持ってくる所化だったが今回は孝太郎が持ってきた。7月は愛之助は「白拍子、白拍子」と言っていたが今回は「生娘、生娘」。奇数番目は白拍子、偶数番目は生娘、とか決まりがあるのだろうか。
「雁のたより」
上方歌舞伎らしい演目。藤十郎のニンだと思う。 愛之助は歌舞伎おもしろ講座のときに「バカ殿の役です」と言っていた役。正座は座布団の上の方が辛いそうだが、あのくらいの時間なら大丈夫なのか。
秀太郎が藤十郎と話しているときの「ずばり言うわよ」という台詞がおかしくて笑いが起きていた。
「乗合船恵方萬歳」
太夫と才造役の橋之助と翫雀以外の役者は後ろ向きに船に乗って出てきて、客席の方に向き直る。各役者が真ん中に出て順に踊る。愛之助は大工の役で、手ぬぐいを曲尺に見立てたような動きがある面白い踊りだった。この日の役の中では一番かっこいい役。踊りは勘太郎が一番うまいのだろうが、素人目にはうまさがわかりにくい踊りだった。たぶん難しいのだろう。鶴松君はここでも一人前に踊っていた。まわりに座っている役者は他の役者が踊っているのを見ているが、愛之助は鶴松を見ながら自分の子役時代と比べたりしているのだろうか。最後の太夫と才造が微妙に音痴なような気がした。
夜の部は終わったのが9時半で長かったが全幕愛之助が出たので飽きずに見られた。幕間に写真を買ったが、売場の人が仁左衛門1枚と愛之助4枚の写真を「ご確認ください」とテーブルに並べて見せるのでちょっと恥ずかしかった。仁左衛門は俊寛の役でもイケメンであることに気づいて感動して写真を買ってしまった。
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