新春浅草歌舞伎 2部2007/01/28 01:49

2007年1月26日 浅草公会堂 午後3時開演 3階ほ列20番

3階の最後列、劇場の一番高いところから観劇。オペラグラスを借りて役者の表情を見たが、むこうからこっちが見えないところにいて相手を凝視できる気楽さがある。

お年玉ご挨拶は亀鶴。客席の方から登場。「来年も」「浅草へ」の「来年も」を言った会場の人はこれで7回目だそうだ。私は8回目。

「渡海屋・大物浦」

今回この演目に感動したのはなんと言っても七之助のおかげ。感情のこもった心地よい声。獅童はかっこ良さ担当。 知盛の白い衣装で足を踏み鳴らしたりするのがかっこよくて、仁左衛門の知盛を見なかったのを後悔した。辰之助、猿之助で観た記憶があるがこの役がこんなにかっこいいと思ったのは今回が初めてだ。銀平のときはちょっと下手かなとも思ったが相模五郎と入江丹蔵をつかまえてやっつけるときの台詞のところは観客を惹きつけていた。相模五郎と入江丹蔵の刀は23日に続いてきょうもすんなりと鞘におさまりちょっと残念。入江丹蔵役の愛之助はやっぱりうまい。

「身替座禅」

勘太郎の右京を観たのはこれで8回目。私にとって一番たくさん観た右京になるかもしれない。愛之助はどうしても奥さんじゃなくお母さんに見える。 息子を溺愛する母の目を盗んで彼女のもとに行く息子みたい。仁左衛門そのものの台詞は減ってきたが「そんならなんと言いやる」は仁左衛門を思い出す。右京から花子との逢瀬の楽しさを聞いてくれるかと聞かれて座禅襖を被った玉の井がうなづくとき、愛之助は屈辱にたえるような「くっ」という喉の音を出す。23日に観たとき気づいたが、これは3階でも聞こえた。仁左衛門はこんな音出してたかなあ。

千秋楽だから芝居の中で何かお遊びがあるかと思ったが何もなかった。歌舞伎のカーテンコールは嫌いだが、きょうはカーテンコールを待って拍手をした。幕が上がったら玉の井の愛之助を真ん中に、下手に羽織袴の獅童と七之助、上手に扮装のままの勘太郎と亀鶴が立っていた。最初に愛之助が挨拶した。「僕が二年前に来たのはこの勘太郎さんの代わりで、今回は亀治郎さんが大河に出られているからで。でも来年も呼んでもらいたいです」 獅童が挨拶して、男女蔵がいないと思っていたら玉の井の扮装で花道から登場。玉の井とはこうあるべきもの、と言ってもいい玉の井で、比べると愛之助はかわいい。勘太郎は男女蔵に「坐骨神経痛で挨拶には出られないかもしれないと言ったじゃないですか」と言った。獅童によると獅童の鬘だそうで、頭のサイズが同じだそうだ。右京姿の勘太郎の挨拶のときは左右に玉の井が座っていた。

手ぬぐいを撒いたので3階席なのを後悔したが愛之助は玉の井の扮装で3階の最前列まで飛ばした。1回目は最前列の人がとれずに下に落とし、次にも3階まで飛んできて、最前列の人がキャッチしていた。本日の一番の感動だった。

愛之助の音頭で三本締めもびしっと決まり美しく終わった。