吉例顔見世 「仮名手本忠臣蔵」 夜の部 ― 2009/10/12 19:55
2009年10月10日 御園座 午後4時15分開演 1階7列21番
仮名手本忠臣蔵の通しだが、夜の部を先に観た。
「五段目」
幕が開いて、正面に座っているのは橋之助?と思ったら勘平役の仁左衛門だった。何度も観てるわりにはちっとも覚えない。
定九郎は花道から出てきた。三越の歌舞伎講座できいた話を思い出しながら見た。口から腿の上に、衣裳を汚さないできれいに血を落としていた。金を袖の中で数えた後の「ごじゅうりょう~」はなかなか重量感があって良かった。そのわりに、誰かが来たと知って干し藁に潜り込むときの、あわてふためいた足の動きが軽すぎる気がする。
「六段目」
仁左衛門の勘平は、孝太郎のおかる、秀太郎のお才、竹三郎のおかや、松之助の源六に囲まれて実力を遺憾なく発揮、といったところ。
「さらばでござんす」と出ていこうとするおかるを勘平が「あかる、待ちゃ」と呼び返し、おかるが勘平の膝に抱かれるところは、横向きになる玉三郎のときと違って勘平がおかるの背中に手をまわして抱きかかえるような感じだった。「おかる、まめでいやれ」という台詞は、三年前の松竹座で玉三郎がおかるのときは、かおるの顔をしっかり見て短めに言っていたが、今回は長く伸ばして言っていた。ここでおかるがわっと泣き崩れて悲劇が最高潮に達する。そこに源六が「冗談じゃあねえや」と現れて客が笑い緊張がゆるむのだが、松之助は関西弁の源六なので台詞が違う。私が観たときは、緊張のゆるみ方が足りない感じがした。
おかやの竹三郎は仁左衛門と合うし三年前の松竹座のおかやも良かった。今回も熱演で、「御両人」と掛け声がかかったほどだ。
千崎と不破は彌十郎と左団次。背が高い二人が家に入ってくる。仁左衛門は「色に」と言って一瞬二人の顔を見まわし、続けて「色にふけったばっかりに」と言った。
彌十郎の方はいろいろ表情を変えるが、左団次はあまり表情も変えず、つまらない不破数右衛門。 不破数右衛門はこんなに良い役だったかと思った去年の平成中村座の仁左衛門の演技を懐かしく思い出した。
「七段目」
団十郎の由良之助を観るのは、特に声を聴くのはかつては苦痛だったが、今はそうでもない。
見立てで、金のしゃちほこをやっていたのが名古屋らしかった。二人で倒立するだけなので簡単。
平右衛門が三人侍の供をして茶屋に来るとき、仁左衛門は羽織を着ていたと記憶しているが、橋之助は着ていなかった。
力弥役の新悟はとても背が高くて首が長い。
福助の遊女おかるは綺麗だった。平右衛門に姿をよく見せてくれと言われて、「あにさん、こうでござんすか」とポーズをとる時、玉三郎は最高の美人顔を作ってポーズを決めるが、福助は「こうでござんすか」と言っても、静止しないで動いている。福助は綺麗だが時々口元が食人鬼のように見え、声も太くなったりするので、勘平の死を知って「あにさん、どうしょー」と言っても「あんたなら、大丈夫でしょう」と言い返したくなる。
「十一段目」
プログラムには小林平八郎の役は彌十郎と書いてあるが、お詫びの紙が入っていて、男女蔵に配役変更になったと書いてあった。
八月に弁天小僧と南郷力丸をやった二人が今月は平八郎と喜多八で泉水の立ち回りをやる。歌舞伎座で観たとき、喜多八役の松江は池に落ちた後に何回か顔を出してプハーッとやったり、平八郎に投げられたり、もっと運動量が多かったような気がする。今回の立ち回りは少し見劣りする。
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